まあいいや、と思える数字の罠。

 

 

1円貯金から500円玉貯金、誰でも一度はやったことがあるはず。

500円コインの場合は、かなり注意深くわくわくするものですが、

ポケットの小銭を貯金箱に入れる場合は、さほど気にせず、

貯まり具合も期待していない時がある

(大人になってからです。いやな歳をとってます)。

 

という心の隙をねらったIDEOのアイデアがこれです。

やらしーというよりも、巧妙です。

依頼であった「預金口座」ユーザーを増やしたのですから、

文句はありません。

 

これを、デザインと呼ぶって、かっこいい。

 

目指したい分野です。というか、勉強しながら始動開始です。

 

 

 

 

 

下記の話は、「デザイン思考の仕事術」棚橋弘季著 

日本実業出版社にあったものです。

 

抜き書きします。

 

「例えば、IDEOの仕事のひとつに

バンク・オブ・アメリカの依頼を受けてデザインした

『キープ・ザ・チェンジ』というサービスがあります。

『キープ・ザ・チェンジ』は2005年の10月に開始した

普通・預金連携口座のサービスです。

 

サービス利用者が買物をするとセントの端数を次の1ドルに切り上げた額が自動的に『普通口座』から引き落とされ、差額分が『預金口座』に振り込まれるようになっています。

 

昔ながらの小銭をビンなどにいれて貯金する方法や

最近の500円玉貯金をイメージしてもらえればよいでしょう。

キープ・ザ・チェンジというのは「おつりはとっといてくれ」の意味です。

このサービスは提供を開始した後、市場の評判もとてもよくて、

たくさんの口座開設を集めました。

また、ビジネスにおけるイノベーティブな事例をたたえる賞も

いくつか受賞したりもしています。

 

『キープ・ザ・チェンジ』をデザインするにあたってIDEOでは、

はじめにバンク・オブ・アメリカの重要な市場セグメントである

45歳以上の子どもを持つ女性を中心にフィールドワークによる

調査を実施しました。

人々が暮らす現場、働く現場に足を運び、

そこで人々の暮らしぶり、仕事ぶりに触れる調査方法が

フィールドワークです。もともとは民俗学や文化人類学などの

分野で用いられた手法でした。エスノグラフィと呼ぶこともあります。

そのフィールドワーク、エスノグラフィという手法を、

IDEOではデザインのための調査方法として用いているのです。

IDEOでは『キープ・ザ・チェンジ』をデザインする際、

2ヶ月ものあいだ、対象となる12の家族の生活を

起床から就寝までをくまなく観察しました。

その2ヶ月のあいだ、IDEOの人類学者たちは、

対象者が普段の暮らしのなかで

どのようにお金のやり取りを行うか、

買物を行うか、支払を行うかを観察したそうです。

 

その結果、『多くの家庭では支出の流れを

セント単位ではなくドル単位でフォロー』

『お金を貯めることに四苦八苦している』ことが判明しました。

お金の貯め方に隠れたニーズがあると発見したのです

 

なんだ、あたり前のことだと軽く考えてはいけません。

ほとんどの人がその当たり前を見過ごしていたのですから。